2016年6月27日月曜日

【翻訳】Don’t Sleep on Emrakul/エムラクールの話をしよう

エムラクール特集、CFBからです。

原文はこちら

スポンサードリンク

始まった。まあ、エムラクールの場合、始まりは終わりだ。約束された終末だ。
俺はスタンダードのローテーション前にもうトーナメントで結果を残す事ができなさそうだが、スポイラーは衝撃の1枚で始まった。
意外に冷たい皆の反応に俺は少しショックを受けた。

このカードははっきり言って恐い。ギセラとブルーナのなれの果て(アート)の話じゃない。

エムラクールについて話し合おう。
これは強いカードで間違いないし、だからこそビビってる。


エムラクールに期待していないプレーヤーは精神隷属器の恐ろしさを忘れているんじゃないかと思う。そこで俺の昔話をする。

2010年か2011年だったか、俺は「殴打頭蓋」が印刷される前のカウブレードをSCGオープンに持ち込んでいた。
当時、俺は記事なんて書いていなかったし、俺はただの無名プレーヤーだった。
PTQのトップ8になった事はあったものの、SCGオープンでトップ8に入ったのは初めてで、俺にとっては快挙だった。

俺の相手はAli Aintraziで、俺はAliに勝てた試しがなかった。
シールドのPTQですら「真実の確信」のために平地4枚をタッチした彼に負けている。
彼は俺の天敵だった。

3ゲーム目、俺はゲームを支配していた。
「精神を刻む者、ジェイス」、「ギデオン・ジュラ」に「肉体と精神の剣」を装備した「石鍛冶の神秘家」と「天界の列柱」をコントロールしていた。
対するAliのライフは一桁。マナは出るが「かき鳴らし鳥」にハンドは0枚。
序盤に「肉体と精神の剣」で「精神隷属器」を墓地に落としており、勝利は目前に見えた。

Aliはアンタップしてドローした、何のフラグだったのか彼は2枚目の「精神隷属器」を出して起動、俺の次のターンのコントロールを奪われた。
俺の(だった)ターン、彼は石鍛冶で攻撃し、ギデオンで破壊した。ジェイスで狼トークンをバウンス、列柱は「地盤の際」で割られた。それから「ギデオン・ジュラ」の2枚目をプレイして(当時の)対消滅により両方墓地へ。
彼のターンになり、かき鳴らし鳥はジェイスを除去し、ドローは「ワームとぐろエンジン」、俺は死んだ。

俺の盤面は盤石だった、でも全てを失った。「精神隷属器」から受ける被害はエグい。
もう一つの思い出はモダンのプロツアーで、精神隷属して相手のストームで自殺させたというものだ。
あれはたまらなかった。その後も「ぶどう弾」ターゲットミーさせる気持ちよさを周りに語るのに必死だった。

今の白黒コンを精神隷属した場合を想像してみよう。
まずエムラクールで相手のターンのコントロールを得る。
次のターン、オブ・ニクシリスでカリタスを破壊してから、ソリンの全力のマイナスでオブ・ニクシリスを除去する。ギデオンを「破滅の道」にご案内。
13/13の飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)を目の前に全てを失う。
畳むしかないね。


おそらく皆はエムラクールで相手のターンを奪った後、相手に追加のターンを与える点が気になっているのだろう。
「奪った1ターンと追加の1ターンで相殺」だと思っているだろうが実際は違う。
最悪でも相手の一番強いクリーチャーをブロックしているエムラクールに突っ込ませる事ができる。最悪でもそれだけの価値があり、相手の一番強いクリーチャーを除去できる訳だ。
それ以外にも「集合した中隊」でスカる、「搭載歩行機械」をX=0で唱える、「ドロモカの命令」を空撃ちする、「荒野の確保」をX=0で唱える、「ウェストヴェイルの修道院」で上から5体生け贄にした後でオーメンダールに「石の宣告」を打つ等、色々できる。

「精神隷属器」は「疫病風」+「精神錯乱」とも言える。相手の全てのハンドを使って相手の全ての盤面を破壊するのだ。
相手に1ターンくらいくれてやれ、5~10ターンはリカバリーに時間がかかるのだから。
仮に5~10ターンでリカバリーできるとして、回避能力を2つ持った13/13を相手に相手は耐えられるのか。


今後エムラクール対策で議論になるのは「停滞の罠」対「翼切り」になるだろう。
他のインスタント呪文ではできない事をこの2枚がやってくれる。

まず、「翼切り」は今一番大事なサイドボードカードだ。しかし、今のメタゲームにあっているものの、エムラクールを唱えるようなデッキの飛行クリーチャーはエムラクールのみだろうから、あまり重要なカードではなくなってくる。
それなら「停滞の罠」の採用がいくばくか合理的になってくるのだが、仮に相手のエムラクールが着して(奪われた)自分のターンに入る前に「停滞の罠」で飛ばせたとしても「疫病風」と「精神錯乱」が待っている。さらにマナがなくて追放できなかった場合、「停滞の罠」はお前のクリーチャーを追放した上でそれ以外の生物も約束された終末を迎える事になる。

エムラクールは「絶え間ない飢餓、ウラモグ」より上だと考えている。
エムラクールを唱えるようなデッキだと7~9マナで唱えられそうだ。若干「世界を壊すもの」より重たいくらいでそこまで重たくない。
それに一度唱えたらほぼゲームは終わる。
何らかの形で対処できたとしても盤面は少しは崩壊させられるし、もう一回エムラクールを出されたらさすがにもう無理なんじゃないかな。

俺は「約束された終末、エムラクール」は「精霊龍、ウギン」と等価だと考えている。
8マナで出せばそれだけで大体勝てるカードだ。
ウギンは実はあまり好きではなかった。「お前がウギン引いたら負け、引かなかった俺の勝ち」となってしまう、つまらないカードだったからだ。
何枚ものカードの積み重ねがたった1枚でひっくり返るというのは好きになれない。
エムラクールは、少しは面白いカードになってくれる事を願う。


エムラクールが一体どんなデッキに入るのかまだはっきりしない。
伝統的なランプにウラモグの代わりに採用されるだろうが、遅めのミッドレンジやコントロールに入ってもいいと考えている。こういうデッキはインスタント、ソーサリー、クリーチャー、プレインズウォーカー、「進化する未開地」等を使う。
エムラクールのコストを8まで下げるのはグリクシスやGBxなら困難ではない。

エムラクールはチームEurekaがプロツアーに持ち込んだ赤緑ゴーグルにも入りそうだ。
このデッキだと「苦しめる声」と「マグマの洞察力」で昂揚を達成し、「ウルヴェンワルド横断」で土地か、エムラクール本体を探せる。

エムラクールがどんなデッキに入ってくるにしろ、俺はゆったりとお酒でも飲みながら約束された終末を待つ事にしよう。

7月9日はTTTです。
7月30日はHMOです。

最近読んだ3冊

0 件のコメント:

コメントを投稿