【翻訳】Don’t Loot/ルーターするな

以前翻訳したルーター問題について、LSVとOwenが「ルーターすべき」だと主張したのに対し、このBBDとかいう男は「ルーターすんなし」と主張なさっているようです。考え方は人それぞれだけど、それにしても最近この人は尖ってんなー。
原文はこちら。


今回の記事はLSVの記事を見ている事が前提となっています。
英語の解る方は原文を読んでもいいですし、一応翻訳もしていますのでどぞ。
出題編
解答編


今週の頭に、LSVの記事、"What's the Play"は議論が議論を呼び多いに盛り上がった。
主題編はこちらで、解答編はこちらだ。議論にならなかった点と言えば、トッププロは100%「ルーターすべき」と言っていた点だ。俺個人の見解としては、ルーターすべきじゃない。考えれば考える程、試せば試すほど、ルーターするのが間違いだと思うようになった。


理由はお前らの予想より遥かに単純だ。

物あさりは違法です。法律はそんな事認めていませんし、モラル的にも有り得ません。物あさりは盗難です。誰かがあなたの家に入ってあなたの持ち物をガサゴソし出したら嫌でしょうに。ダメです。そのような行為が許されているコミュニティとはお近づきになりたくありません。恥を知りなさい。（外人ならここでHAHAHAって言うところね）


それ以外の理由は少々複雑だ。

まず最初に、今回の記事の目的をはっきりさせると、俺はLSVの亡霊に挑戦したい。
彼の説明した、「2番目にいいカードを1番いいカードにしようとするのは賢い取引」だという話は同意している。仮に2番目にいいカードを失ったとしても、手札は良くなるかもしれない。

一般論だが、手札が完璧じゃないのなら、ルーターした方がいい。LSVが言いたかったのはそういう事で本当にその通りだと思う。だが、一般論の問題は、一般論だという事。
マジックには様々な状況、一般論が通用しなくなるような状況が存在する。
時として、1番目と2番目のカードの両方が必要で、ルーターしたら片方を失うといった状況もあるだろう。
または、複数のパーツを集めなければいけない状況で、弱い方のパーツが手札にあって強い方のパーツを手札に入れるために弱い方を捨てる羽目になるかもしれない。


そこで、ルーターすべきでない状況を示してみようと思う。

まず、例の盤面では「支配呪文」が「噴出の稲妻」の方が絶対にいいとは思えない。
大体の状況では俺も「セラの天使」を「噴出の稲妻」で除去するよりは「支配魔法」で奪いたいし、そうせざるえを得ないのであれば俺は「噴出の稲妻」を捨てる。だが、1番嬉しいのはセラ天のコントロールを奪った上で、何かが起きた時のために稲妻を構えられる事だ。

奪われたセラの天使をどうにかする方法はいくつもある、「解呪」であったりバウンス呪文であったり。相手がそういった呪文をいくつも入れている訳ではないだろうし、相手のデッキに何が入っているかなんて解らないが、
①コンマジが手札に来る→②ブラストを捨てる→③セラ天を奪う→④相手が「大クラゲ」をキャストするか「解呪」を唱える→⑤大惨事
なんて事態は充分起こり得る。

今のは最悪の想定だが、とりあえず俺は「支配呪文」を「マーフォークの物あさり」のルーターで引きたいとは思わない。
この行動で「噴出の稲妻」か「支配呪文」かの二択を迫られ、相手がいつ何を引くかによってその選択が正解にも不正解にもなりえる。
「支配魔法」をルーターで引きたくはない、そして他のあらゆるカードが「噴出の稲妻」より弱いとして、ルーターするなんて有り得ないと思わないか？

あの盤面は「ライフは充分にあってマーフォークの物あさりが使える、そして必死の相手が唯一出している生物に対する回答を持っている」状況なんだ。勝てそうじゃん。
ゲームが長引く程有利になっていきそうだ。相手は1枚しかドローできないのに対してこちらは2枚から選べるのだから。

「支配魔法」のために「セラの天使」に対応できるもう一つの回答を捨てるのはどうかと思う。
コンマジを見つけたら相手に与えられる時間は著しく減少する。それは嬉しいが、相手が1枚の回答を引けてしまうと直ちに重大なリスクとなる。
相手がディッチャやバウンスと引く、あるいは「マハモティ・ジン」のようなより大きな生物を出してくるリスクがあるとコンマジがもう1枚あったらと後悔する事になるかもしれない。

俺はアンタップしてドローして、次の行動を考えたい。
「支配魔法」が手札に来たらそれを「セラの天使」に使った上でルーターは起動しない。
手札にきたのがコンマジでないのなら、ルーターする。
ルーターによって「セラの天使」を奪うための「支配魔法」を見つけるチャンスを得られ、見つけられなかったら無リスクでいらないカードを処分できる。
これでよくないか。

念のため言っておきたいのは、ライブラリーの勝ち筋がなくなる事を懸念しているのではない。
デッキには充分勝ち筋は残っているし、この状況であればまだ全然なんとかなる。
唯一気にしているのは2番目にいいカードを捨てたばかりに、結果的に後ででそれが必要になってしまう事だ。

相手にまだ余裕があったり、こちらのライフがより少なかったりしたら、「支配魔法」のためにルーターすると判断するかもしれない。
俺は「負けている時はより積極的に、勝っている時はより慎重に」という哲学を信じている。
相手の選択肢を絞って、何もできなくなるまで縛る。
この盤面において相手はお前を焦らせて、お前に判断を誤らせようとしている。
俺はそうやすやすと引っかかるつもりはない。